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研究に対する取り組み

第一線の分子科学者を結集した研究所として

分子科学研究所設立を決定づけた、1973年10月付の文部大臣に宛てた学術審議会の報告には、「分子科学における我が国の研究者の層は厚く、…… すぐれた伝統を持ち、国際的にも高く評価された研究者を擁している。この研究者を集め、…… 国際的な研究センターとしての機能を持つ総合的な共同利用の研究所を設立することが緊急に必要である」と述べられています。この提言に従う形で、分子科学研究所は創設以来、まさに分子科学の第一線の研究者を全国から広く集め、分子が関わる広汎な現象について最先端の研究を振興してきました。

 

分子科学の新たな地平を拓く卓越した研究成果

これまでの研究成果の例として、レーザーやシンクロトロン放射光などの先端的光源を活用して精密測定や分子の自在なコントロールを実現し、また、スーパーコンピュータ(「京」コンピュータを含む)を用いた理論計算化学の新手法を確立することにより、分子およびその集合体の構造、電子状態、動的性質、機能の発現について、世界レベルで分子科学の基礎的研究を牽引してきました。同時に、有機伝導体、光触媒、磁性体など多様な分子性固体の開発と物性研究を展開するとともに、生体高分子分光法の開発により生体における分子機能の発現機構を明らかにしてきました。さらに、超分子や不斉触媒錯体の創製に成功するなど、有機、錯体化学のエポック的な研究も推進してきています。世界の代表的な化学分野における研究機関と比較してみても、平均論文引用数は遜色ない値となっていますし、分子科学研究所におけるこれまでの業績に対して、多数の賞が授与されています。

 

分子科学を取り巻く多種多彩な研究分野へのインパクト

分子科学研究所における先駆的な研究の成果は、関連分野へ大きく波及しています。一例として、有機伝導体や有機磁性体の研究は今まさに勃興しつつある分子エレクトロニクスの発祥と言えます。また、半導体表面反応や分子クラスターの研究により日本のナノサイエンスの端緒を拓きました。基本的な反応中間体に関する分光学的研究の成果は、星間化学や半導体プロセスの理解を劇的に進めました。さらに、錯体化学や有機金属化学の大きな発展のきっかけをつくることで、有機EL素子、有機太陽電池、高機能分子集合体、不斉合成触媒等の開発を促すとともに、グリーン化学合成、グリーンエネルギー変換に対しても発展の基盤を提供しています。タンパク質や糖鎖などの巨大生体関連分子の研究は、生理機能の理解や創薬へとつながっています。このように分子科学研究所における研究の成果は、物質開発、新エネルギー創製、生命科学など、広範囲な関連研究分野へ多大の貢献をしてきています。

 

分子科学のさらなる飛躍を目指して

現在、分子科学研究所では、日々拡張を続ける分子科学をシステマティックにカバーするため、理論・計算分子科学、光分子科学、物質分子科学、生命・錯体分子科学の4つの研究領域を設定し、所内の研究施設・研究センターや岡崎共通研究施設と密接に連携しつつ、分子科学が解決すべき根本的課題に取り組んでいます。さらに、今後の分子科学の展開を見据えて、2013年4月、生物に代表されるような「分子が創るシステム」の理解と創製を目的とした協奏分子システム研究センターを創設しました。さらにそうしたシステムのありのままの姿に迫る革新的な計測制御方の開拓を目的としたメゾスコピック計測研究センターを、2017年4月に創設しました。分子科学研究所は、分子科学をさらに多彩で豊饒な学際的フィールドとするために、これからも新たな研究領域の開拓に挑戦します。